なぜ欧州ではなく日本を選んだのか

日本以外にも、イスラエル、アイルランド、アメリカ、そしてもちろんハンガリーの顧客とも仕事をしてきました。当初、私たちはヨーロッパ内でより多くの顧客を見つけることに注力していました。しかし、グローバル市場が進化し、日本のクライアントとの協力が成熟するにつれて、日本を主なターゲット市場と見なすようになりました。現在では、日本は私たちの主要市場として確固たる地位を築いています。

運命的な始まり

時には、最も驚くべき旅が予期しない出来事から始まることもあります。2019 年、当社の CEO であるダニエル・ファゼカシュはアジアをバックパック旅行している途中で日本を訪れる機会を得ました。彼は、日本の文化的な豊かさと技術革新のユニークな融合に心を奪われ、「いつか必ずまた戻りたい」と思いました。

その旅とは無関係に、ブダペストに帰国してから 9 カ月後、日本のソフトウェア開発会社の CEO が LinkedIn を通じて連絡を取ってきました。その会社はプロジェクトを完成させるために開発者を必要としており、当時まだ成長段階にあった私たちのチームが持つ技術的専門知識を求めていました。

いくつかの話し合いを経た後、試験的に小さなタスクを依頼されました。私たちは全力を尽くし、その結果に満足していただきました。さらに重要なことに、仕事への価値観やアプローチが自然に調和し、コラボレーションが非常にスムーズに感じられました。こうして私たちのパートナーシップが始まりました。

その最初のプロジェクトは、長期的な関係へと発展し、プロジェクトの増加とともに日本市場とのつながりがますます深まりました。

それから 4 年、現在では日本が私たちの主要市場となっています。偶然のつながりから始まったこの関係は、今でははるかに大きなものへと進化し、これからどのような未来が待っているのか、私たちは非常に楽しみにしています。

経済的要因

日本の IT 業界は、特有の課題に直面しています。それは、ソフトウェア開発者の深刻な不足です。世界的には開発者が供給過多になる傾向が見られる中で、日本では 2024 年には 35 万人のソフトウェアエンジニアが不足しており、2030 年までにはその数が 45 万人に増加すると予測されています。この不足は特に、React、Next.js、React Native、Node.js といった新しい技術分野で顕著です。

この大きなギャップは、外部の開発者が日本企業と協力するための貴重な機会を提供しています。このトピックについては以前の記事で詳しく取り上げました。

一方、ヨーロッパや北米を含む他の地域のテック業界は、大規模な人員削減や採用凍結の波に見舞われています。特にシリコンバレーのようなテックハブでは、多くのベンチャー企業が高金利の影響で借入コストが増加し、苦境に立たされています。また、消費者支出の減少が収益を圧迫し、企業が事業を縮小せざるを得なくなるケースも増えています。

Layoffs.fyi のデータによると、2023 年から 2024 年の間に 30 万人以上のテック従業員が職を失いました。Meta、Amazon、Google、Microsoft といった大手企業が大規模な削減を行ったほか、小規模なスタートアップも厳しい財務条件の下で成長を維持できず、同様の課題に直面しました。

Scriptide の CEO である Daniel Fazekas（ダニエル・ファゼカシュ）は、こう語っています。「高金利と消費者支出の減少により、多くのベンチャー企業が苦戦を強いられ、人員削減や採用凍結に追い込まれています。」

これに対して、日本では開発者の需要が供給を大きく上回っており、私たちのようなソフトウェア開発会社にとって成功するための独自の市場を形成しています。この市場動向の違いが、私たちにとって日本をますます魅力的で戦略的な焦点としています。

自然な調和

日本での経験を通じて、私たちは市場が単なる機会以上のものを提供していることを学びました。それは、私たちのビジネスが繁栄するための完璧な環境です。日本企業との協力を通じて、パートナーにより良いサービスを提供し、成長に貢献するための貴重な洞察を得ることができました。

日本市場とその独自のニーズに対する深い理解を築き上げました。日本のクライアントは、正確性、信頼性、そして長期的なコミットメントを非常に重視します。これらは、私たちのアプローチの中心となる特質でもあります。一度パートナーとの信頼関係が確立されると、協力関係はさらに深まり、関係性が強固なものとなります。その結果、継続的な市場プレゼンス、拡大する顧客基盤、そして私たちのチームを常に刺激し続けるプロジェクトが生まれています。

加えて、日本の技術的な環境は、私たちの開発者にとって挑戦的で知的刺激に満ちた機会を提供してくれました。複雑なソフトウェア開発から最先端技術を活用した仕事まで、これらのプロジェクトは私たちの専門的な成長を促しつつ、クライアントに高品質なソリューションを提供することを可能にしています。こうしたプロフェッショナルな成長の環境と私たちの共有する価値観が、日本のパートナーとの仕事を非常に充実したものにしています。

日本での仕事の課題

日本には多くの機会がある一方で、同市場での仕事には特有の課題もあります。

• 言語の壁: 言語の壁はおそらく最も顕著な課題です。英語を話す人口は少数派であり、ビジネスコミュニケーションの多くは日本語で行われます。効果的にコミュニケーションを取るためには、現地の言語や文化への深い理解が求められます。Scriptide では、日本語を話せる技術者の採用や文化知識の構築に力を入れることで、この壁を乗り越えています。
• 時差の違い: 日本とヨーロッパの間には 7〜8 時間の時差があり、特に時間が重要な課題が発生する場合には挑戦となることがあります。しかし、私たちはこれを利点として活用しています。この時差のおかげで、夜間に問題を解決し、日本の業務開始時にはソリューションを用意することが可能です。もちろん、柔軟性が求められますが、これまでこのシステムはうまく機能しています。
• 意思決定の遅さ: 日本では意思決定プロセスがヨーロッパやアメリカよりも慎重であるため、時間がかかる傾向があります。これが遅延と感じられる場合もありますが、一度決定が下されると変更されることはほとんどありません。このため、ビジネス関係における安定性と信頼性が高まります。
• 参入障壁の高さ: 日本市場への参入には長期的なコミットメントが求められます。関係構築、現地のビジネス慣習の理解、規制の順守といったプロセスは、時間とリソースを要するものです。

文化的な適合性

日本の「信頼性」「長期的思考」「正確性」といった価値観は、私たち Scriptide の理念と非常に共鳴します。私たちは高品質な仕事を提供し、強固なコミットメントを維持し、密接に協力することを信条としています。これらの価値観は日本のパートナーとも共有できるものです。

日本のクライアントとの仕事がとても充実している理由は、持続可能な関係構築に焦点を当てた相互の姿勢にあります。この共有されたアプローチのおかげで、私たちはそれぞれの協力関係を敬意を持って進め、共通の目標に向かって努力することができます。

また、日本の細部への注意という文化的価値は、私たちの体系的で正確な開発手法と完全に一致します。この文化的な適合性により、言語や時差といった課題に直面した際も、より効果的にコミュニケーションを取ることができています。

これからの旅路

振り返ると、日本市場への参入は偶然から始まりましたが、それは努力、信頼、そして共通のビジョンによって育まれた成功物語へと発展しました。

ソフトウェア開発者に対する需要、日本の価値観との適合性、そして成長の機会は、Scriptide にとって日本を完璧な市場にしています。課題はあるものの、その報酬はそれをはるかに上回ると信じています。

他のヨーロッパの小規模企業が世界進出を考える際、日本は最初は明白な選択肢には見えないかもしれません。しかし、私たちにとっては、それが正しい選択であり続けており、Scriptide の未来を形作る重要な決定となっています。